接触/相良ゆう
 
の世界には全くありえないものが、観念の世界においては関係交渉の基本として存在している。

わかりやすくするために心理学の言葉である「アイデンティティー(自己同一性)」について解説してみる。私たちは体を持ち、言葉を持っている。それが私という存在の最も簡単な証である。しかし体と言葉(心)はそれぞれ属する世界をことにする存在である。それら二つを統一的なものとして、「私」として認識することこそ、アイデンティティーに他ならない。自己同一性とは、体と心の両方を「私(自己)」として認識しているということである。そして同一性障害とは、体と心の統一がなされていない状態に、何らかの理由で陥ったことにより起こる精神
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