「ライン」/灯和
 
と呟いて/
     地面を蹴る感じに似ている)



 キャンバスに描かれたゆるやかな放物線は
 やがてそこから、未来が生まれていくことを
 表したにすぎなくて、
 絵筆を雪に浸した彼女の(いつの間に
 透き通るような素肌へと(雪は積もっていたの
 居場所を探し始める。 (だろうか


      だけど今なお、
      キャンバスの空の
      真っ白なラインは
      呼吸をしている!


     *  *  *


 溢れ出すヒカリの空が
 落ちてしまうのを期待するのは、
 もうしばらくやめておこう。
  飽和してしまいそうに優しく、
   哀しい、彼女から愛された私に
    始まりなんて、

     なかった。
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