舌平目/
小川 葉
死に満ちたものが
テーブルの上に並び
人もそれに並ぶ
生きた日々を語り合えば
舌平目のように
触れあう肩が懐かしい
記憶の一番懐かしいところで
からだをひるがえし
鰭をたなびかせて
色のない時を滑っていく
目を覚ますと
舌平目を食べている
僕の肩がまだ少し
濡れてることに気づかない
妻の肩にもまた
湿った砂が付いている
おいしいのに
何故かとてもせつない
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