光の骸(再々改訂版)/ダーザイン
 

 なにも言葉にならなかった
 信号無視の車を先頭に
 次々と轢き殺されて
 甥子はさぞかし痛かっただろう
 辛かっただろう

 気丈に耐えていた父親も
 甥の棺を入れた釜のふたが閉じられると
 叫ぶように泣いた

 享年八歳
 甘えんぼうで 優しい子
 鬱を病んでいた僕がストーブの前で横になっていると
 よくお腹の上に乗ってきて一緒に寝ました

 幼い弟は
 病院から戻されてベットに横たわっている兄について
 「お兄ちゃんいつ起きるの」と
 母親に問うたそうです
 でも幼いながらにすぐに理解した
 後に 知らない人に
 「兄弟は何人?」と聞かれると
 
[次のページ]
戻る   Point(17)