光の骸(再々改訂版)/ダーザイン
なにも言葉にならなかった
信号無視の車を先頭に
次々と轢き殺されて
甥子はさぞかし痛かっただろう
辛かっただろう
気丈に耐えていた父親も
甥の棺を入れた釜のふたが閉じられると
叫ぶように泣いた
享年八歳
甘えんぼうで 優しい子
鬱を病んでいた僕がストーブの前で横になっていると
よくお腹の上に乗ってきて一緒に寝ました
幼い弟は
病院から戻されてベットに横たわっている兄について
「お兄ちゃんいつ起きるの」と
母親に問うたそうです
でも幼いながらにすぐに理解した
後に 知らない人に
「兄弟は何人?」と聞かれると
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