esquisses/鴫澤初音
 
な。
   大好きだったよ、その肩も。君が肩をあげて、白いTシャツを
   脱いだとき心もとなくどきっとしたよ。それを、どうしたら
   いいのかよくわからないうちに君が絡めた足を抜けようと
   しなきゃならなかったよね、でも、もう、バイバイ、思い出。
   
   還える日はいつか決まっているから。



   拭えない思い出が、誰にもあって、豊かな日差しの遠い向こう側
   にいつもそれはあって、悲しく泣いているのだろう、こちら側で
   私たちは。
   深夜、点滅する歩道の向こう、に君がいるのを知っていた。かつて
   そういう話を書いたのを覚えていますか?様
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