あした、咲く/銀猫
 
さようなら、の向こうで
夢、夢の花が揺れる
その花びらの裏側で
思い出が溜め息をつく

生きて行くことは
分かれ道の連なり
傍らをゆく風さえ
その地図を知らない

今日にうたえば
明日の雨を呼び
わたしの小さな足跡は
水溜まりを記すだろう


今宵ひとしきり
さようなら、に泣いた後には
ひっそりと
うすむらさきに咲きたい

花びらを翻し
乾いた悲しみだけが
風に散るように

さようなら、の足元よ
さらさらと流れてゆけ

いつか
また。



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