純粋正義への架橋2/チャオ
 
し振り返るオルフェウスであり、<約束の地>の入り口へすなわち<文学>なき世界の入り口へと導かれた<文学>である。しかもその世界の証言をもたらすこともなお著作家たちの義務なのだ。}

 誰かを救うことを断念する正義を、誰が肯定できるだろうか。それはすでに絶え間ぬ時間が生み出した歴史がもつ、絶対的な権力なのだ。だが、その裏側を返してみれば、いとも簡単に正義は鞍替えされる。救わないことが正義でありうる場合が多く存在しうるのだ。
 かくして、僕は誰へも悪を決め付けられないでいる。その場所がまったく、無反響室であり、零度の地点、すなわち文学なき文学の入り口なのだ。

 
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