変遷/
 
日記を、付ける



六月二十三日、昨日から降り続く雨が鬱陶しい
飛沫を弾きながら、打たれるがままの紫陽花を見つめている
我が家の北側の窓の裾、包み込む影は徐々に沈み
零れ落ちた空の色が、花弁のひとつひとつに溢れていた
音が、染み入る


六月二十四日、カーテンを滑らせた向こうは昨日
中指の腹を這わせた窓ガラスを、かたつむりが舐めていた
どんよりとした湿り気が、今の心情を空に彩色する
クレヨンの白は、結局一度も使わなかったこと
ふと、思い出す


六月二十五日、向かいのゴミ置き場のブロック塀の中に
張られた網の上、ぽつんと雨宿りを決め込む姿
じっと見上げてい
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