透明通信/石川和広
 
笑ってしまい
理由はわからないながらも警官に怒られた


わからない
わからない
あいつは連行されるとき
青く透き通っていったはずだ


嵐の中の南風

変な夕暮れ

びる
びる
びる

匂いの違う世界
凶暴なものは、純粋だ

ただ、この湯飲みよりつまらない

色気も無い透明通信
あいつの残像

いちおう二十歳過ぎだったし
無期をくらったらしい

過ぎたことだとは、傍観者の物言いか

で、
あいつの訪問は、挨拶もなしに済んだ
ある意味口下手なあいつらしい
お茶を飲み干すと、空がくらくなっていく

夜だ
あたたかい
もう
今は
[グループ]
戻る   Point(1)