「妥当な夜」/菊尾
 
与えられたものは何でも口に 
鳴り止まない耳の奥 
張り詰める神経 
肌を走る痛みで全て忘れそうさ 
可哀想にと蔑んでくれ 
低音の呟きを背中に落とされれば 
どれほど楽になれるのか 
胸は震えて止まらない 
黒い亀裂の夜にだけこの殻は脱げるんだ 
響く声だけが俺を留めてくれている 
残り香だけでも飛び立てるさ 
破裂したっていい 
跪いて腕は使わずに 
許可が下りるまで幾度でも動くから 
浅ましいだろう 
だが妥当だろう 
こんな優しさをくれたのは 
こんな風になれるのは 
そこに居る君だけだ 
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