犬/城之崎二手次郎
 
 妻に先立たれ、一人で暮らすようになった時、息子夫婦からポメラニアンをもらった。ポメと名づけてかわいがったが、無駄吠えが多くなると煙たくなった。その夜も鳴き声で目が覚めた。叱ろうと起き上がった時、男の叫び声が聞こえた。玄関ではポメが男の足に噛みついていた。私に気づいた男はポメを蹴飛ばして逃げた。後日男は捕まったが、蹴られたポメは死んでしまった。危険を知らせてくれていたのに。ごめんよ、ポメ。

あとがき。
二〇〇字物語第十九弾。
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