一月一七日が近づくと/kaori*
美しいものも 醜いものも 飲み込んで
街は 生活の音 を立てている 坂道を下りながら
スカートの丈ばかり気にしていた 帰り道 未だ 手
付かずの空白が すっかり崩れかけた門を 支えてい
る 住みかに 気配だけ残して 足元で 空に微笑む
タンポポの綿毛 がひしめきあうばかり
桜が咲く頃 船が出るよ
と
言いかけて
朝の光の中
止まったままの少女の唇
日々を愛しむ形
友達になることができなかった少女と
フェンス越しに
鈍く光るものが
飛び立つ空を睨みながら
一月一七日を
渡っていく
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