一月一七日が近づくと/kaori*
 
一月一七日が近づくと 朝靄の中 仮設住宅の立ち
並ぶ 通学路を抜けて 初めて学校へ行った日を思
い出す 眠る街は 雪を待つ すれ違うこともでき
ず 呼び止められて 思わず受け取ってしまった 優
しい挨拶 友だちになれたかもしれない 少女たち
のお喋りを 背に 坂をのぼる 振り返ると 街の朝
が 挨拶を 交わすところ

一月一七日が近づくと 下宿先のおばあさんが 注
意深く 未明の朝 を探しにいく あちこちに 灯
された祈り ひとつひとつ 手繰り寄せ 夫に 会い
にいく 今年 ひとりでオーストラリアへ行きました 
と 短い報告をする 朝のプラットホームは 明日か
ら 流れ
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