確率/
小川 葉
妻が増殖しているのを
街で見かけた
その数はおそらく
億単位だった
そしらぬ顔で
妻が帰ってきた
一人だった
いつも通り
二人で夕食を食べた
お母さんが本当は
恋愛結婚だったことを
話してくれた
その夜僕は
数億分の一の妻を抱いた
いったい誰が予測できただろう
僕と妻は
世界に二つとない確率の
声をあげた
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