刻印/木葉 揺
 
ワインで誰かを呼びながら
逃げ出そうする神経
全ての縄をほどいてきたのに
血管がかたまってしまった

ただピアノの弾く光を
追いかけることで
時間に恥じなくてすんだ

少しも珍しくない空間を
突き破るように外へ出ると
さらに珍しくない空間が
鼻で笑っていた
戻る   Point(3)