『かくれんぼ』/東雲 李葉
く消え去るだろう。
あっという間の時間は幼さ残る僕を置き去って、
ぶら下がった鉄棒を冷たく感じる季節が来るよ。
逢いたくて。君の名前を大声で叫んだけど、
気付いたの。君が僕より先に帰っていたこと。
いつまでも続くと思っていた僕らのかくれんぼ。
次の鬼はもう僕ですらないんだね。
風にたなびくスカートがただきれいで。
必ず見つけてやるんだとズボンのはしを握りしめた。
砂場を掘り下げれば地球の裏側にだって行けるんだと、
持ち前の想像力が世界のすべてであった頃…
逢いたくて。君の名前を大声で叫んだけれど、
気付いたの。もうあの頃の僕らじゃないこと。
いつまでも続くと思っていた2人だけのかくれんぼ。
次の鬼は、もう僕ですらないんだね。
泣かないで。あの日の君がそう言ってくれた気がした。
だけれど、相変わらず弱虫なままの僕みたいだから、
もう少しだけまだここに隠れていたいんだ。
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