『冷たい夜』/東雲 李葉
 
れた時計
きみもひとりぼっち?
そうか 僕とおんなじだね

まあるい月の上 乗っかって
箒星に手をふれて
宇宙はきっと広いんだろう

満天の星空が 僕を照らすから
ちっぽけで惨めな自分が
なんだかとてもかわいそう

ぼくはどこにいる?
帰る家が無いんだ
君に向ける顔も無いんだ

泥にまみれた手のひらでは
きれいな服を汚すだろうから
きっと君に近づけない

誰かが見てる月の下 息を殺して
ちいさくちいさく丸まって
ちいさくちいさく生きている

君はどこにいる 僕はここにいる
ちいさく呼吸をしながら
ひっそり鼓動を聞きながら

潰されないよう
気づかれないよう
蟻んこのように生きている

誰かのおむかえ待ちながら
こんな冷たい都会のすみで
ひざをかかえて待っている

安らぎなんて やさしさなんて
形をもたないまぼろしです。
誰かが書いたゆめものがたりです。


こんな言葉が
口をついて出てしまうほど


都会の夜は 暗く冷たく 寒いのです

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