まなざし、不可知、忘却/ケンディ
 
piagnoを。これを彼は知っていた。
いや、彼も私も何も分からない。痛み、恥らう「心」などは
存在しない。ただ、関係だけが揺らめき、蠢く。
それを私たちは誤解して、「彼は分かっている」
「私は感じている」という形態にする。

彼はもう死んだ。全身を病に蝕まれていった。
私は彼に戒名をつけた。彼の戒名は、
iWx/qZqだ。ここには何があるか?
読ませないという目的がある。どのようにして
読ませないようにしているか?
子音しかないからだ、といいたいが、
頭にiという母音がついている。それはなぜか?
上記目的を一言で言わせないためだ。
つまり、最初にiがついてしまっているゆえに、
彼の戒名を読ませないという目的の説明も
一段と面倒なことになる。こういった二重の仕組みが
入ったパスワードが彼の戒名であり、
人々はきっと彼の戒名を沈黙をもってして呼ぶだろう。
そして、急速に忘れていくだろう。忘れさせるのだ。
それゆえに彼の戒名は
強い刻印を残す――沈黙と忘却の領域において。
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