「いつか」/菊尾
 
いっその事 
責めてくれれば楽だったのに 
きっとここは器の中 
さほど大きくない器の中に私は居て 
蓋が閉じられた状態を夜と呼んでいるだけ 
暗闇の中でも動けるのは知覚が生きているから 
怖くないのは 
ここに誰も居ないことを知っているから 
月の初めに丸で囲んで 
それが何ヶ月も続いていて
捲る作業は生活の一部になっていて 
毎月訪れる定期的ないつか
訪れることが分かっていれば
心待ちにできるのに
そんなある日 
目薬を点しました 
ふざけて輪ゴムを目一杯飛ばしました 
予測変換で物思いにふけました 
太陽も満月も白くて違いは眩しさだけで
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