sketches/鴫澤初音
 
前のアルコールを飲んでいた。
   前には、坂田が座っていて、何だか偉そうに煙草をふかしていた。
   もうさ、死んでも平気だよ)
   三月さんは低い声で言った。
   そうね、だから泣かないでね)
   私は知りたいと思う。どうしていつまでも君を
   思い続けていかなければならないのだろう。
   三月さんがくすり、と笑う。君と同じ笑みがどうして
   この人には出来ないんだろう。

   君のささやかな目蓋を縫って、空が昇っていく。
   私は佇んで、くすり、と笑う。
   もうすぐ春だよ)
   横で三月さんが言った。



              
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