sketches/鴫澤初音
 
  胸がぎゅっと鳥肌をたてて
     わたくしが
     先生をどれほど
     愛しているのか
     海の底まで
     潜った息の苦しさ
     感じて
     それから水面を上がる光りの
     美しさがわたくしを
     どれほど先生を
     憎んでいるのか
     思い出させる
     そうして
     わたくしは先生の唇を噛む
     襟元に手を入れて
     背を撫でる
     先生の
     膝にのったまま
     先生は
     わたくしの髪を掴んで
     引き寄せる咽喉元を
     笑って
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