mahirunoyumearuki/水町綜助
 
道を歩く
たとえば都会の中の
南北に良く延びた
見通しの良い、ゆるい起伏のある道
道の両脇に少し、窪地のように
段差を持って民家の屋根が見え
ちょうど腰の辺りにゆれている鍵束の
しゃんしゃんと
ぶつかる音のあたりに
窓がいくつも開いている
アスファルトなんて
すでにぼくとしては
見たことのない歴史のようなもので
しかし黒く硬く
夏にはぐんにゃりと軟化するようなものが
若干の水分を染み出させるほどにはあたりまえ
遠く
遠近感をもって
どこまでもま隣を滑り進むような天楼群は
いつまでもそれを眺めて歩けば
やがてそれを中心に
迂回しているようなきもちに
なるわ
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