聖性、冬、機械/ケンディ
ある日彼は突然発狂した。そのとき私は彼と一緒に部屋にいた。突然彼は自分の眼球をえぐりだしたのだ。数時間の苦しみの後彼は息絶えた。もはや彼はいない。私の唯一の友人だった。率直に言って残念なことだ。彼の魅力が分かるのは、何ゆえか私以外にはいなかった。彼の思想を他に誰も理解することはなかった。誰も彼に近寄らなかった。しかし私にとっては、彼の発言、一挙手一投足に至るまで深い意味とエネルギーと愛があった。そして恐怖があった。
恐怖は、彼の嫉妬に狂った卑しい目つきが放っていた。嫉妬と悪意を力の限り発散しようとする彼の顔の歪み方は、戦慄と吃驚をもたらすものだった。彼自身の持つ激痛と病気の全てが、私に刻み込まれ
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