カモノハシのパンセ9/佐々宝砂
 
知識を平易に伝える言葉だ。そうした平易な言葉で伝えるべき知識を私なりの言葉で噛み砕こうにも、なかなか噛み砕けない。

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私は雰囲気を読まない。こどものときから読まない。言わなくてもわかる、という言を信じない。言わねばわからんよ。それも直接に言わねばわからんよ。経験を積めば確かにある程度雰囲気だの場だの話だのが読めるようにはなる。確実な真理ではなく、推測の結果として読めるようにはなる。だが、誰に対しても「空気を読め」と命令するのは残酷で身勝手だ。誰に対しても(今日はじめて会った他人にたいしてすら、というよりもそういう人に対してこそ)ひとは、モノゴトをきちんと説明すべきなのだ。それをしないのは横着だ。

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私の住む世界は、私と、「私でないもの」からできている。「私でないもの」は、どんなに私に近いように思えても、「私ではない」。私はあなたを理解しない。あなたは私を理解しない。それで問題があるかというと、別にない。

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みんな、強くなりやがれ!
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