「無視」/菊尾
 
正直に言ってしまえば 
怖いのは他の誰かじゃなくて 
この体に住んでいる誰か 
それは強引に見せつけてくる 
誰よりも知っている誰か 
今日、見下ろしたよ 
剥製、鳴いていたのはいつの頃 
侵害、蝕むのは人間 
言葉、音にしない方が響くだろう 
優しくしてもいいけど 
希望までは要らないよ 
理解には期待していない 
だから演じなくていい 
無理に二人で居る必要はない 
あんな感じに生きられたらって 
手本が見当たらない 
遅刻はしないけど早退が増えている 
次の天気がいい日に 
ここから抜け出すよ 
浅はかな自我塗り潰して 
景色と並走して 
平らな地面に這うように潜り込むように
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