猫/城之崎二手次郎
 
 シャムは野良猫だった。白い毛に青い瞳。きれいだったから面白半分に餌をあげていた。するとなついてしまい、家に入ってくるようになった。ところがある日を境に姿を見なくなった。どこかで死んだのかもしれない。忘れかけていた頃、家の前で白い猫を見つけた。シャムと呼ぶと振り向いた。その首には赤いベルトがあった。どこかの家で厄介になっていたようだ。あれはちょっとした家出だったのだろう。以来死ぬまで家にいた。

あとがき。
二〇〇字物語第十八弾。
戻る   Point(1)