[孤独の算式]/東雲 李葉
 
孤独だ、と言えるうちは
本当の一人ではないのだと
今更のように 知りました
孤独だ、という認識は
一人ではない時が在る
という前提のもと成り立っていて
今 この部屋に一人分の質量しか
ないこととは、
≠ でしか結ばれないのです

向かいの家では家族たちの
幸せな食卓を囲む団欒が
隣では恋人たちの
吐きそうなくらい濃厚な営みが
自身で自身を温める私の耳に流れてくるのです

私は 孤独だ、と
軽々しく言えてしまう私は
実はどこも孤独でないと、
心のどこかで言い聞かせている

音の無い部屋の中では
私自身が楽器となり
誰かの娯楽を満たすように 歌う
誰もい
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