鳥の隙間/小川 葉
 
さみしさのようにあり続け
やさしさのように消えてしまう
鳥はいつも
そんな隙間に巣をつくる

おだやかな空のもと
揺れる木陰の向こうには
静止したままの朝
さえずりはまだ
誰に気づかれることもなく
漆黒の宇宙にひびいている

ある朝僕と妻は
布団の中で卵を見つけた
いつかは巣立っていくものと知りながら
一緒にそれを育てることにした
朝のさえずりを
はじめて聞いたような顔をして
二人笑いながら
育て方について話し合った
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