夕立売/鴫澤初音
だ、崇高な美しさであった。
ふとあることに気が付いたのは、
ユキオのほうだった。
僕ら、傘持ってる。
そうだね、傘持ってるね。
遠くの校舎から近づいてくる女の子2人組に、
二人の老人の目は吸い付けられた。
たくさん通っていった少女達のなかでも、
彼女達の生意気なおっぱいっぷりは眩しい限りだった。
目を背けなければならないような今更な良心に苛まれながらも
じっとり見続けなければ仕方がないのだった。
二人の少女達が校門を通り過ぎるその一瞬に、
二人の老人は二本の傘を、さっと差し出した。
「ありがとうございます。お優しい方ですね。」
とサチエは言った。
「ところでわたしと一発やりませんか?」
とユキオが言った。
「私、すでにもうたっぷり濡れているわ」
ともうひとりの少女が言った。
そうして4人は土砂降りの中を、2つの傘の下、どこかへ歩いていった。
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