記号/松本 涼
 
昨日哀しみを突き放し
今日の瞼は何も隔てない

地表を渡る細波を
裸足でなぞり
葉の無い枝のように
四方へと手指を広げている

数羽の鳥が羽を休める
屋根の上には
ソーダ色の空が
深呼吸を繰り返す

あの空に透けたなら
私も記号になれるだろうか


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