治療行為/もろ
手ごろなサイズの
透明の瓶の中から
一番不安定な私を一人
選び出して
ピンセットで摘まみ出す。
自由になった筈の私は
瓶の外では生きていけない。
彼女が放り出されたのは
なにかのお仕置きなんかではなくて、
なにも
悪いことなど
してはいなかった、
のに。
瓶の中では
ぴたりと
波が止んで、
翌日
何人かの私の死体が
瓶の底に沈んでいた。
それを片付けるのは
私の仕事で
お墓をつくるのは
私の仕事ではなくて、
彼女たちのお墓はつくられない。
色の濁った水の中で
不安定な私がつくられるのを
期待しながら
いつもより余計に
固く瓶の蓋をしめよう。
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