白い帽子/
小川 葉
いつか
目の前の少女が
いなくなる
そんな未来のことを
考えていた
少女は僕に
やさしく微笑んで
お似合いの白い帽子を
空高く飛ばした
落ちていく帽子を
目で追いながら
僕の記憶も
どこか遠いところに
導かれていった
少女が
いなくなったのではなかった
僕がいなくなったのだ
そして夢の中
僕は少年のまま
記憶の海の最果てに
たったひとり
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