冬の日/倉持 雛
 
湿った空気
落ちてくる温もりを指差して
何かを祈ろうか
銀世界に
溶けないもの一つ
 
 
***
 
 
人一倍寒がり
冬は君の生まれた季節なのに
矛盾してる
なんて笑って
君専用の特等席
赤い布の隠れ家に
二人でまるまった
 
 
***
 
 
吐息が舞う
空中に埋め込んだ僕が
寒さを反発して
君と混ざった
目に見える温かさ
ぎゅっとして
目を瞑って
一つになった
 
 
***
 
 
雪になりたい
そう言った君の横顔は
とても綺麗で
消えてしまいそうだと思った
そっと、頬に触れる
これは冬のいたずら
白い肌に流れた
涙は冷たかった
 
 
***
 
 
溶けない雪が降る
体中に君を浴びて
温もりを感じる
 
そんな、冬の日のこと
 
 

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