雲が泣く/
小川 葉
雲は
空のことが好きなのだ
ある晴れた日
どこからともなく
雲はやってきて
やがて空のすべてを覆いつくし
ひとりじめにした
そして泣いた
泣いて泣いて
涙がかれたら
雲はあとかたもなく
消えてしまった
なぜ泣いたのか
あの雲の向こうで
空とのあいだに
何があったのか
愛する人よ
いつか
僕は君のすべてを覆いつくし
そして泣くだろう
雲と同じ理由で
戻る
編
削
Point
(11)