心の悲/草野大悟
 
幸せが側に来ると
男は
おびえて
目を背けた

いままで
幸せなどというものを
見たことのなかった
男の目に
それは
あまりに
まぶしすぎた

男が
幸せから
目をそらし続けているうちに
幸せは
そっと
青空に
とけてしまった




ーーーーー美知子がそばで眠っている
     夜の十一時



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