鍵/アンテ
 

                        13 鍵

建物じゅうがひっそりしていて
でも
拒絶感はなかった
足音が廊下を転がっていく
ころころ
まねたあたしの声が
あとを追う
受付も
診察室も
待合の長椅子の列も
とてもやさしくて
だから余計に
確信できた

成美の思い出
のなかで
いつも成美が寡黙だった理由
あたしがあたしのことを
とても正確に
理解していること
大事なのは
答えじゃない
あたしがリエちゃんを信じたことも
リエちゃんがあたしに
嘘を並べつづけたことも
同じ事象ひとつの結論から逆算した
右辺と左辺
川岸から小石を投
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