カモノハシのパンセ5/佐々宝砂
えることで人間大きくなります。
なんて嘘さ。泣いても泣いても欲しいものが得られなかったあかんぼうは、あるときから泣かなくなる。おなかが空いてもおむつが濡れても泣かなくなるんだそうだ。つまり、手がかからなくなるんだそうだ。しかし、それはちっともよいことではない。そういうあかんぼはまだあかんぼだってのに「諦める」ことを覚えてしまったということなのだ。
私は諦めないぞ。私は手のかかるあかんぼでいるぞ。負けないぞ。言いたいことは言うぞ。
***
どこかに進みたいなあ。行ったことのない場所に行き着きたいなあ。やったことないことしたいなあ。それってどこだろう。なんだろう。私はなにをやり
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