三千世界の烏を殺し/フユナ
 

ひるがえる灰色のシャツ
がそっぽを向く夕暮れ
の片隅に咲いている花
とそれをなじるあなた



本当は愛してたいのに
を口にしないひと
そして思ってもいないのかも
と勝手に悲しがるあたし




三千世界の烏を殺し




雪が降りますね、
とこの真夏を見て言うその指
をくわえ込んだどこか
に見惚れてくれればいいのに




とまどって合わせはしない唇
は、からりと乾いていて、
なんてね、と言うことでしか
ほら、夢も見れませんもの





白蓮の夜
に響き渡る
この毛布の凍み
に血を残す
三千世界

烏を
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