地平線/小川 葉
少年は
言葉の世界に暮らし
少女は
意味の世界に暮らした
地平線には
さみしい遊具があった
あれからどれくらい
年月が過ぎたのだろう
錆びついてしまった
心のように
ちぎれてしまった
縄跳びの縄が
崩れてしまった
ブランコが
地平線の上で
速度を失わずに今も
動き続けている
僕たちが生きている限り
僕たちが人間である限り
少年少女は終わらない
世界のバランスが
保たれているように
愛することと
愛されることが
ともに在り続けるように
地平線には
いつだって明日があった
明日とは
愛を信じるということだ
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