ゴーシュ/mizu K
 


空の鋭角を切りとるように
にじみ出した切りとられた
青い空のカメラ
オブスキュラ
青い空の向こうの黒い宇宙

果ても見て
見ぬふりをして過ごした時間
時間のすきまに
おとずれた空白の薄明のあわい
時間のすきまに
ふとふみこんで足をとられた
そんなとき
彼の人の名を呼ぶ

ゴーシュ


黒いくらい森の
緑黒い葉うらの日ざし
ささぬ森の奥深く
その黒い森の中心から
くろい葉とくろい枝にかこまれて見えない
空のことをおもう
そしてまた
名を呼ぶ
彼の人の名を

ゴーシュ

ほの暗き水の底のよどみから
ゆっくりとかま首あげてゆらゆらぐ
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