[カナリア]/
東雲 李葉
赤い色に染めたという。
私は詩を歌う詩人。
名前のように生きることは容易くないと識り始める。
捨ててしまえばいいのだろうに。昨日までも自分の名前も。
そうしてしまえば歌わなくても良いはずなのに。
だけど滾る熱を伝える術を私たちは一つしか知らない。
彼女はカナリア。私は詩人。
自称するのはおこがましいと思うけど。
私は私の喉が枯れても貴方の詩を歌うだろう。
相も変わらず傷付くことには臆病だけど。
雪のように白い花弁が赤くなるまで歌いたい。
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