惑星/まんぼう
 
私は一個の惑星だ
光と影の半球として
世界は存在する全ての事実で構成される

私は闇に浮かぶ
激しく疾走しながら静寂に
世界は存在しない全ての事象に包まれている

私は海底に埋もれた貝ではない
剥きだしの柔らかな肉
存在は一つの惑星として宇宙に浮かび

私はたとえば夜光虫に似ている
この町は夜の海より暗い
全ての星は絶対零度の暗黒銀河で瞬きあう
透明な昆虫の羽音に似た囁き

青白く明滅する光の伝播は
ただ私のある場所を
或いは私のあった位置を
みしらぬ友に示すだけだ

戻る   Point(1)