鱗音/鴫澤初音
 
           鰭がきれいだった 魚が泳げないことが
            ないように 私も歩いて
            いけるようになるのかなぁ




   眼を瞑っている けれど見えていた地平

   繋がっていく果て 眼を開けても見えなかったものが

   ここにはあって 落ちていく涙や 

   鱗がきらきらと 輝いて それは笑ったあなたの

   口元みたいだった 

   光景がかすんで見えなかった じゃりじゃりと

   鱗を踏んで 私は歩く 歩きたい 

   ぽろぽろと 散っていく鱗が

   床に落ちた鱗にあたって砕ける

   蛍光灯の光でそれは

   きらきら して

   きらきら していて 私

 
                私、
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