大丈夫/秋桜
「大丈夫。」
そう言ったのは君のためだと、そう自分に言い聞かせた。
「大丈夫。」
返す言葉はこれ以外に無いというほど繰り返した。
「大丈夫。」
表情筋を酷使して営業スマイルで隠す本音。
「大丈夫。」
頼ることを忘れたように差し出された言葉を払う。
「大丈夫。なんくるないさ。」
と言う君の秘めた思いに気づいた。
「もう大丈夫だ。」
って言われた気がして張り詰めた糸が切れたんだ。
「だいじょうぶ。」
うしろからささえてくれるひとがいる。
わかっているからだいじょうぶ。
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