伏し目/山中 烏流
耳の、奥
疼くであろう膜は
憂いのように湿りを帯びて
たしかな変化を
告げる
その呼び声に
ほんの少し瞬いたあと
通り過ぎる光の筋は
私が知るより早く
通り過ぎて、
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伏せた目には
私と私の奥底が
然るべき溜まりとなって
決して波紋の立たない泉を
造り上げていく
それらが一度だけ波打ち
厳かに地に触れるとき
私はようやく
成長の意味に気付き
そして、
何かを忘れていくのだ
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なびいた髪と
爪弾いた弦が重なり
何かを奏でるのだが
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