騾馬/蜘蛛/鬼/ピーカフ/鈴木
昨晩は錯乱して
まるで
密林で春をひさぐ女たちの
割烹着に付いたシミのよう
木漏れ日の夜を塞ぐバスクが
なりをひそめ
フランス調の哀歌が響くとき
騾馬に詩歌をつまびらくエルフこちら向き
毛づやよいか
遥か彼方に血潮ふりまく朝か
ミクロを通して聞こえる声が波濤になり
五等星を飲み込んだ
*
愛と心臓のふるさとを追い
辿り着きたるは盲目のタランチュラ
穏当な二重まぶた潰して猜疑食え
千年経ってバラバラになった
毒牙
見る影なく
それは一本のしらたき
さぶらうは液体窒素のような
地層のぬくも
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