献血/guchi_k
 
ブウーウーン
むやみにうるさい羽音を鳴らして そいつはやってくる
しばらく その辺をうろついてから
ピタリと 軽やかな着地
少し口吻を動かして あたりを入れ、
何か思いきったように、ブスリと我が皮膚に その口吻を突き立てる
チクリと 小さな注射針の風で 痛みが走る
すると、みるみる やつの腹は 膨れていく
口吻が刺さった部位は、しだいに 赤くかゆくなってゆく
しばらくじっと 我慢しているのだが、まだまだしつこく 吸っていやがる
まだなのかと じれていると、
おもむろに やつは、じつにゆっくりと 口吻を抜いた
そして、よっこらしょ という感じで フラフラ 飛び上がる
我が皮
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