夏の思い出/いねむり猫
天空に差し伸ばされた腕
その指が指し示す星空の無限
「私に能力さえあれば それらにとどくはずなのに」
思いこがれるのではなくて
自分を その思いに乗せて鋭く放つ
その思いの苛烈と純粋
後に何一つ残さない
はかない己のあまりの軽さに 揺るがない
こがれるものだけを見つめる熱狂
いつか 夏のキャンプで隣に座ったその女が
細い腕を空に向けて 小さな声で
呪文のように語った願い
その思いに触れて 背骨が震えた
完全燃焼の夢 その危険な共感
腕が触れ合った熱と青臭い吐息
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