やさしいおもいで/hope
ふらつきながら繰り返した。
あなたの、その仕草だけが残ってる。
新しい季節は、私だけを置いてゆくけれど、終わらない季節の始まりは、いつだって私に優しいの。
遠い、遠いよ。
思い出だけが、どんどん綺麗になってゆくのね。
立ち止まったまま、手を振る私は、ちゃんと、笑顔になれていますか。
内緒だよ、
秘密だよ、
暗いから見えないんじゃないの。
暗いから怖いの。
本当は、それだけじゃない。
耳鳴りが、頭の中でずっと鳴り続けているの。
だから、なにも聞こえないの。
だから、
あなたの、その仕草だけが残ってるの。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)