雨宿り/
水口わする
通り雨に打たれ駆け込んだ小屋には土の臭いが染み付いていた
雨水を吸い込んだ地面は懐かしさを醸し出す
ぞっとしたのは呼吸を感じたから
深い土色をした男がこちらを伺っていた
恐怖を感じなかったのは静かな目をしていたから
何をしているのかと尋ねたら
かえりたい と
男の指は小枝のようで
爪の辺りに微かな緑があった
少しずつ枯れている
雨が止んだよ
おじゃましました
土の匂いが離れない
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